祖母

先日、祖母の誕生日だった。いい機会だったので、電話をかけた。

祖母は相変わらずで、離れて暮らす孫の健康を気にかけていた。

何歳になったのか聞くと、78歳になったという。続けて祖母は「後は死を待つのみ。希望なんてない」と言った。

僕は笑った。祖母も笑ってた。やっぱり僕はこの人の孫なんだな、と思った。

22歳の僕ですら「後は死を待つのみ。希望なんてない」と思ってんだから、3倍以上生きている祖母はよりそう思っているのだろう。

 

漠然と「孫の顔くらいは見せてやりてえな」とは思っている。女性の平均寿命まであと9年。ぎりぎり。姉はすでに結婚してるので、そこんとこは姉に任せた。

祖母は僕が結婚できない男であることを未就学児の段階で見抜いていたため、小さい頃から一人で生きていくための術を叩き込まれた。料理を主として、家事全般を習った。

一人暮らしを始めて、そのときに習ったことが存分に発揮されている。いまの僕は、祖母と高校の家庭科の先生のおかげで生活できている。ありがとう、アキコとスガコ。

 

幸い祖母は大病を患ってはいないが、年相応にボケてはいる。僕ら3人兄弟の名前はうろ覚えで、毎回ギャンブルで名前を呼ぶ。

体も弱ってきているようで、ちょっとしたことで骨折するし、加齢性白内障にも罹った。なんてことない風邪も、祖母にとっては大病になる。

 

「希望なんてない」とは言うけども、僕の将来が少しでも希望になるように精進せねばならない。