無印良品
無印良品に行った。ボールペンとノートカバーが欲しかった。
僕は文房具に少しだけこだわりがある人で、特にボールペンの書き心地とインクの濃さには並々ならないものがある。
さらに、僕は黒のボールペンよりも、青やブルーブラックのものを好む。特に理由はない。
無印良品にブルーブラックで書き心地のいいボールペンがあると聞き、僕は駅前の無印良品に急行した。
お店に行くと、確かにそこにブルーブラックのペンがあった。しかし、一つだけ予想と違ったのは、そのスタイリッシュさだった。
無印良品の売りの一つでもあるシンプルさ、それを象徴とするようなデザインだった。無駄な贅肉はそぎ落とされ、そのシルエットはきれいなラインを描いていた。文房具界の冨永愛とでもいったところだろうか。
僕はそれを目の前にすると、緊張からか動悸と息切れが止まらない。あいにく救心は持ち合わせてなかったため、ただただ深呼吸し時が過ぎるのを待つしかない。
しかし、症状は悪くなる一方で、脈拍も上がり、血圧も高くなった。
するとその瞬間、一本の糸が切れたように、僕の命が終わった。はかないものだった。
無印良品のそのおしゃれさに当てられてしまったのだ。時としておしゃれは兇器にもなるのだ。
享年22歳。まだまだこれからという若者の命が失われてしまった。
前途洋々な人生が待っていると勝手に思い込んでいたが、人の死というのは突然来るものらしい。惜しむ暇も、走馬燈を見る暇もない。
死因はもちろん「むじる死」だった。