Like A Rolling Stone

    最近僕はいんすたぐらまーになった。

    もともと好きな芸能人をフォローする用にアカウント自体は持っていたが、オードリーの画像を投稿して以来、何も動かしていなかった。そもそも写真を撮るのも撮られるのも苦手な僕は、Instagramに投稿するような写真なんて一枚も所持していない。

    そんな僕だが、ここ最近になって「Instagramをやらなければ」という謎の強迫観念に駆られた。このままInstagramの潮流に乗らなければ、時代に置いていかれる気がしたからだ。

    とはいえ、投稿するような写真がないことに変わりはない。そこで、なにか一つテーマを決めることにした。そのときに白羽の矢が立ったのが喫煙所だった。

    僕はBob Dylanのプレイリストを聞きながら散歩をする、というオシャレ大学生にしか許されない趣味を持っているので、そのついでに撮影できるものとして喫煙所を選んだ。

    東京は特に喫煙所がどんどんなくなっており、なかなか出くわすことはない。散歩のルールとして、一つ喫煙所を見つけるまでは帰らない、というのを決めているので、時には何時間も歩き回ることがある。

    実は散歩を始めたのにも理由があった。僕は尋常じゃないくらいの出不精でお家大好きなので、大学以外家を出ることはない。しかし、このままじゃ人間としての尊厳を失いかねない、なにより種の存続を断ちかねない、そう思って外に出る趣味として散歩を選んだ。

    僕は予てより母親に結婚だけはしてくれ、と言い聞かせられていた。どんなことをしてもいいが、結婚だけはしてくれ、と。

    てな訳で、Instagramにあげる用の喫煙所の写真を撮るための散歩を始めた僕だけれども、本来の目的である生涯の伴侶を見つけることは到底できそうにない。

    Like a complete unknown, like a rolling stone

    僕はこのまま誰にも知られることなく散歩を続けるんだろうな。