今思えば何だったんだアレ? 【大学生編】

 20余年も生きていると、今までの人生を思い返したときに「何だったんだアレ?」と思うようなことが何個かある。

 忘れてしまうのも勿体ないので、ここに記録しておく。

 

    僕が大学一年生の頃の話。

    当時住んでいたアパートの隣には女性が一人で住んでいた。

    ある日の夜寝ていると、隣から何かが聞こえてきた。僕は悪趣味な人間なので、壁に耳を近づけてみると、子どもと女性の泣き声とともに男性の怒鳴り声が聞こえてきた。最初は寝ぼけているのかと思ったが、そんなことはなく、声は静かにならない。これは警察に通報したほうが良いのか、下手に刺激しない方がいいのか、あれこれ思案を巡らせていると、気づいたら寝てしまっていた。

    朝になれば静かになっており、特に何事もなかったようで安心した。変化といえば、隣の部屋の玄関に今までなかったベビーカーが置かれはじめた。

 

    その数日後、夕方に家で寝ていると、何かを叩く音で目を覚ました。最初は僕の家のドアを叩く音かと思ったが、よく聞くと隣の家のドアを叩く音だった。

    ここで「叩く」と書いたのは、ただコンコンとノックしていた訳ではないという事だ。「ドンドン」と曙が春日の家のドアを壊したときくらいの音がしていた。

    さらに、ドアを叩く音と一緒に男の声も聞こえてきた。

「〇〇さん、いるのわかってるんですよ」

    こんなセリフはウシジマくんでしか聞いたことがない。

    怖くなって僕は寝た。

    しかし、すぐに男の叫び声で目が覚めた。何故だか心臓の拍動が激しくなった。本能で「これはやばい」と思ったのかもしれない。

    その叫び声のあとは何も聞こえなかった。

    ここでまた僕は怖くなって寝た。

 

    次の日、隣の家の玄関からベビーカーがなくなった。ベビーカーどころか、家具やカーテンまでも全てがなくなった。

    僕は一階に住んでいたので、カーテンがないと部屋の中が丸見えになるのだが、隣室はまさに丸見えだった。キレイさっぱり何もなくなっていた。

 

    それからさらに数日後、家にいるとインターホンがなった。僕は基本宅配以外は居留守を使うので、例の如く居留守を使った。どんな人が来たのか窓から観察していると、ロングコートを着た、如何にも警察ですと言わんばかりの男性二人組の後ろ姿が見えた。

 

    その日を最後にこれ関連のことは何もなかった。数週間後に大家さんが掃除にきたくらいだ。

    今になってこれを書いていても、まだあの時の恐怖は鮮明に思い出せる。怖くなってきたので寝ます。