悪口

悪口は匿名で言うから良い。

僕がもし有名人で、ネット上の不特定多数から悪口を言われる立場にあったとする。

その時、「死ね」と山田太郎さんから言われるのと、たかやんは眠い@奇行種さんから言われるのでは、ダメージが違う。

山田太郎が本当に実名かは別として、実名っぽいアカウントから言われると、その向こうの生活まで想像してしまって、悪口に実態が生まれる。

対して、たかやんは眠い@奇行種には実態がない。どんな人間かわからないし、もしかしたらどっかのライターみたいにAIかもしれない。

 

でもこれは、そもそも僕の性格に起因している。

正直なところ、山田太郎に言われても、たかやんは眠い@奇行種に言われても、なんにも感じない。ネット上の、この先会う可能性のない他人に何を言われても、なにも感じない。

まじで、ネット上の悪口に逐一反応して落ち込んでいる人は理解できない。理解できないのは僕が悪いのだろうか。

見なきゃいいし、関係ないし。勝手に言わせときゃいい。

まあこれは、実際に体験していないから言えるんだろうな。

 

僕がインターネットに触れたのは十年以上前。

当時は匿名が当たり前で、今みたいに名前や顔を出すことは禁忌とされていた。

もちろん芸能人への悪口も匿名で行われていたが、特に問題になっていなかった。それはきっと、ネットと現実が明確に乖離していたからだと思う。

それが今では、ネット上のものは現実味を帯び、現実世界と区別するのが困難になった。それに伴って、悪口も現実世界まで波及するようになった。

教室の隅っこでシコシコ妬み嫉みをつらつら論っていたら、急に教壇に立たされて発表させられたみたいな感覚。

これは別に悪いことじゃなくて、しょうがないことだけれど、とにかく注意したいのは、本来ネットは汚くて、荒れてて、底辺で、肥溜めのようなところだということ。

今では上手く隠しているけど、その出自の悪さが表出してくることがままある。これは防げない。

 

これからVR技術やらが発達し、より一層リアルとネットがシームレスになっていく。

現実世界で生き抜くのが難しいように、ネットを利用して生き抜くのも難しい。

そんな時代だからこそ、僕は大好きなインターネットを使い、汚い肥溜めに痰を吐いていきたい。