ミソ

耳掃除をしていたら手が滑り、綿棒がズボッと中に入ってしまった。すぐに抜いたけど、体感30センチは入った。

綿棒の先を見ると、なんだかドロッとしたものが付着している。ぺろっと舐めてみた。ミソだ。カニ味噌の味がする。

磯丸水産に行き蟹チャーハンを注文する。ミソをつける。食す。美味い。

美味しそうに脳みそ蟹チャーハンをバクバク食べていると、隣の卓のカップルがチラチラ見てくる。

ちょっとするとそのカップルも蟹チャーハンを頼み、僕と同様に脳みそをほじくり出し、チャーハンにかけて食べている。美味しそうに食べている。

一部始終を見ていた店員が僕の所にやってくる。

「あの、こちらのアレンジを公式で紹介してもよろしいでしょうか?」

快諾した。

その日の夜早速紹介されていた。テレビ番組でも何処ぞの芸人が紹介していた。YouTuberも紹介していた。

脳みその需要が増し、供給が間に合わなくなった。安定した供給を実現するため、脳みそを採取する為だけの人間を製造しだした。

この社会現象に政府も動き出し、脳みそ工場へ補助金を出すことになった。

そんな折、脳みそ人間の人権が問題になった。脳みそ人間にも生活を営む権限がある、というのだった。

この主張は徐々に勢力をつけ、いつしか工場への補助金は打ち切られた。

それと共に脳みそ蟹チャーハンブームは落ち着きをみせ、なだらかに収束した。

脳みそ産業関連の株を持っていた人は軒並み大損を喰らった。ツキが落ちた。

これが本当の晦日

 

なんじゃこれ。