パッチ

僕が小学生のとき、色んなゲームが流行った。

そのうちの一つがパッチ。

パッチとは北海道弁でいうメンコのこと。

パッチブームのきっかけは、その当時の担任のN先生だった。先生はまさに子供の頃にパッチをやっていた世代で、どういう風の吹き回しか、僕らにパッチを教えてくれた。

僕らは各々がダンボールからパッチを作り、休み時間が来る度に戦った。

僕らのパッチにはとあるルールがあった。それは、勝者は敗者のパッチを奪えるということ。これにより勝負は激化し、パッチ作成のため市中のダンボールが姿を消した。

やっぱり強い人のパッチはかなり希少で、特にN先生のパンダ柄のパッチは抜きん出て人気だった。

そんな折、パッチ界に衝撃が走った。

ある一人が、その当時流行っていたムシキ○グの画像をダンボールにプリントしてきたのだった。もちろんこのパッチはとんでもなく人気になり、みんな彼に勝負を仕掛けた。不運なことに彼はパッチが弱かったので、どんどんみんなにムシキ○グ柄のパッチを取られていった。

しかし、彼は取られれば取られるほどパッチを生産していく。そのため、結果的にはムシキ○グパッチの供給は需要を超え、パッチ市場は飽和状態に陥った。

それに伴い、パッチブームは緩やかに収束していき、パッチはただのダンボール片になってしまった。完全にジンバブエドル状態だ。

かつては栄華を誇っていたパッチも、今では見る影もない。パッチの価値はひっくり返ってしまった。